プチ解説
今回は度々登場する「デザイン思考」の生みの親ともいえる、世界的なイノベーションとデザインコンサル会社IDEOの創設者であるデイヴィッド・ケリー氏の著書『クリエイティブ・マインドセット』を図解しました。本書はデザイン思考のマインドセットを行うための本であり、具体的な進め方やツールについては語られておりませんのであしからず。ただし、デザイン思考の教科書的な位置づけだと個人的には考えています。もし、デザイン思考に興味があるのでこれから勉強したい!という方は、まず本書を読んでみることを強くおススメします。
インパクト
なんか僕の図解は実用的な構図が多いので、たまにはビジュアルがカッコいい図解をしたいと思って作ってみたのですが、いかがでしょうか笑(手抜きではありませんよ笑)。
まず僕は本書を読んで強烈なインパクトを受けました。デザイン思考のイノベーションとしてこんな実例が紹介されていました。
GEのダグ・ディーツは、自分が開発した新型MRIスキャナーが最高の技術と事業的な実現性を兼ね備えてることに自信を持っていた。しかし、幼児がこのMRIを使うときに、不安と恐怖を与えるものでしかなく、鎮静のために麻酔が必要である事実を知り、ショックを受ける。そこで人間中心のデザインとイノベーションのアプローチを取り入れ、幼児を観察し、専門家から小児患者の経験を教わるなど、幼い子どもがMRIスキャナーについてどう思っているのか、どうすれば安心感を抱いてもらえるかを理解しようと努めた。
幼い患者に共感したダグは、MRIを子どもの冒険物語に変えることで、この課題を解決した。MRIの装置一式を海賊船や宇宙船などにデザインし直し、幼い患者が冒険物語を楽しめるようにMRIの操作担当者向けの台本を用意したのだ。子ども向けにMRIをデザインし直したおかげで、鎮静の必要な小児患者の数は劇的に減ったという。ダグは、ある患者の「ねえ、お母さん。明日もこれに乗れるの?」という言葉でクリエイティブ・コンフィデンスを獲得することができた。
もうね、僕はこの事例を読んで感動してしまいました。ビジネスから感動を生むという思考法はここにあったのかと。
読みやすさ
比較的優しい日本語に翻訳されていますので、内容が興味深いことも相まってスラスラ読めてしまします。しかしそのために、原文のインプレッションが薄まってしまっているという指摘が私の通う大学院の先生からありました。
学び
デザイン思考で何ができるようになるのか、どのようなマインドで取り組めばよいのかを学ぶことができます。本書の最後に「今すぐ本書を置いてほしい。または、画面をオフにしてほしい。そして、失敗することもあると覚悟を決めて、ひとつやふたつ、実験をしてみよう。そして、新しい人生をデザインしはじめよう。」と本閉じるように言っているのもデザイン思考らしくていいですね。
メッセージ
IDEOの創設者ということもあって、デザイン思考が世の中に役立つためのメッセージがふんだんに盛り込まれています。兄弟のトム・ケリーとのIDEO創設に係わるエピソードについても触れられており、本書に込めた熱い想いを知ることができます。
影響力
言わずもなが、少しでもイノベーティブなことを実現したい人間にとって、刺激的な本になることは間違いないです。
本書を読み終えた後、本当に良い本に巡り合えたなという感想を持ちました。デイヴィッド・ケリーは後にIDEOの代表をティム・ブラウンに引継ますが、彼の著書はクリエイティブ・マインドセットよりも、方法論的な内容になっています。
※ティム・ブラウンのデザイン思考についての著書は過去記事『デザイン思考が世界を変える』をご参照ください♪
繰り返しになりますが、デザイン思考に少しでも興味のある方、イノベーションを起こしたい方は是非、本書を一読されることをおススメします!!
ツイッター(@yuichi922)で図解リクエスト募集中です!
コチラから読者登録お願いします!
ではまた!